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【コラム_12】「ミキミキミキミキミキミキミキミキティ!!!」 藤本美貴3rdシングル「ロマンティック浮かれモード」発売記念ミニライブ&握手会レポ(2002/09/11)

【コラム_12】「ミキミキミキミキミキミキミキミキティ!!!」藤本美貴3rdシングル「ロマンティック浮かれモード」発売記念ミニライブ&握手会レポ

 

2002年9月7日。今日は日比谷の野音にて、藤本美貴(以下ミキティ)の3rdシングル「ロマンティック浮かれモード」のミニライブ&握手会が行われることになった。

9月4日に発売になったミキティの3rdシングルの初回盤に入っている参加券を持って当日会場で参加引換券をもらえば、だれでもが参加できるという太っ腹な企画である。

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ここ数ヶ月、自分の周りでも徐々にミキティ熱が高まっており、当然当日は大勢で握手会に参加することを目論んでいたのであるが、仲間の一人は「同日に予定とかぶるので行けない」とのたまい、仲間の一人は「本人に会ったりしたら絶対やられる。その後が怖い」などと訳の分からない理由で参加を拒否。

 

 なんだよー、これからはミキティがやばいとか言ってたじゃんかよーと愚痴をこぼしつつ、こいつらが行かなかったらじゃあ誰が行くんだよ、という思いで一人ミキティライブ&握手会に参加することを決意する。

 

ミキティはシングル発売前後、『うたばん』や『Mステ』など、あらゆる歌番組に出演しまくっており、深夜番組を見ているとCMもやたらと流れまくっている。

今回の歌は相当プロモーションにも気合いが入っている。そういった歌番組をくまなくチェックし、買ったばかりのシングルを何十回も部屋でリピートさせて覚え、曲の中盤の「ぅえーい!」という叫び声も同時発声しつつ、当日のミニライブ&握手会に備えていた。

 

さて、当日の土曜日はかなりの曇天である。九州地方から台風が近づいているということもあり、前日の金曜日は大雨。今日もいつ雨が降るかわからない、そんな状態だった。

参加券の配布は13:30~15:30まで。その時間に到着すれば、誰でも参加できる。しかも前情報では参加券の席順はランダムで配られると言うことだった。

その情報を鵜呑みにして、僕は家を参加券配布開始時間である13:30頃に家を出た。

日比谷野音のある地下鉄三田線の内幸町駅に着き、地上へ。

信号を渡るとすぐに日比谷公園の敷地である。すでにミキティファンと思われるたくさんの男の子達がウロウロしていた。

 

そして、僕が到着した14:00頃には日比谷野音からかなり離れた距離から、とてつもない長蛇の列ができていた。日比谷公園の入り口からもう並んでるんだもん。

まさに「長蛇」という形容にふさわしく、ミキティ列はうねうねと曲がりくねっており、ヘビの頭がどこにあるのかまったく見当が付かない。

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「最後尾はこちらです」とアナウンスするスタッフに従い、僕も最後尾に着く。親子連れもちらほらいたが、9割9部は熱心な男性ファンだ。

前に並んでいた僕よりも年齢が上であろう男女3人組は、「ごっつあんのラストライブののチケットを売れば次回以降の娘。ライブに5回ぐらいは参加できる」などというダフ行為の相談をしている。

隣にいた僕と同じように一人で参加券をゲットしに来た金髪のにいちゃんに、「すごいですねえ……」とこの列の異常な長さに対して苦笑して話しかけるも、「そっすねえ」の一言で会話終了。

これからお互い長い道のりを共にするというのに、その態度はなんだ。これ以上話しかけてもミキティ友達になれそうもないので、そこで金髪の彼との会話は諦める。

後ろには真性ハロプロマニア(ミキティマニア?)の集団が並んでおり、「ララポートの(握手会の)ときはこんなじゃなかったのになぁ…」と、今回のミキティファンの異常発生に複雑な想いを抱いているようだった。

彼らはどうやら二回目チケットゲットのようである。

かなり早い時間から並んでいたのであろう。 列のスピードは思いのほか早く、どんどんと前にすすんでいく。

ただ、列はものすごく長い。並んでから30分ほど経過したが、自分が一番最初に並んだ場所へまた戻っていた。森宏隆風に言うと、「ゼロ地点」である。

 

列はうねりうねってまたゼロ地点に戻ってしまっていた。しかしまだまだ列は続く。一体どこまでこの列は続いているんだろうか。

日比谷の野音入り口でチケットを配っているようだったが、まったくその野音入り口がどこにあるかが見えなかった。

そしてだんだんと日比谷野音会場が姿を現してきた。音響のリハが行われているのか、新曲「ロマンティック浮かれモード」のオケが大音量で流れては、途中で止まる。

野音入り口付近には、このミキティ祭に便乗しようとイレギュラーな娘。グッズを売る商人や焼きそば、たこ焼きなどの屋台も。チケットをゲットして、ライブが始まるまでの時間に途方に暮れているファン達を次々と取り込んでいた。

そしてチケットゲットの約10分前ぐらいだろうか。後ろのハロプロマニアの友人と思われる一人から、「二回目のチケットに切り替わった」という重大な情報が。

 

ある程度予想はしていたが、これほどの人とは……。日比谷の野音に一度に入れる人数は約3000人ということであるから、すでに僕の前には少なくとも4000人以上が並んでいたということか。ミキティ恐るべし。

 

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ようやく日比谷野音会場の入り口が見えてきた。テントの中では手元を段ボールで隠された4人のお姉さんがチケットの引き替えを行っていた。

良席が取れるという情報があったのか、手前のお姉さんの方に人気が集中。

奥の二人のお姉さんの方には人が集まらず、「こちらの方でも引き替えております。こちらに来てください」と声を掛けている。

人気のないお姉さんは少しキレ気味だ。僕は人気のない右から二人目の、美人のお姉さんからチケットを受け取る。

受け取ったチケットはCブロックの1列目。

並んでから約1時間後の15:00に、ようやくチケットを引き替えることができた。

このイベントはオデッセーが仕切っており、チケットもちゃんとしたプレイガイドで手に入れるような今回のイベントの内容が印字されているものだったので、これはなかなか嬉しい記念品になりそうだ。

 

チケット発券所の近くには臨時ハロプロショップが設置されており、そこにはミキティのうちわ、ここでしか買えないという生写真セット、ポスターが販売されており、そちらもけっこうな人数が列をなしていた。

 

二回目は18:00会場の19:00開演。スタートからまだ4時間近くあるので、一度自宅に戻ることに。帰る途中に野音中ではミキティのリハが行われており、外からでも聞こえるミキティの歌に合わせて応援団も「っーミキティ!!」と会場の外から声を張り上げる。

彼らのミキティ祭はもう始まっているのだ。

 

一度自宅へと帰り、ぴあのサイトで日比谷野音の座席表を確認する。

僕の席はちょうど会場のど真ん中の位置であった。

もう少し早く並ぶんだったなあとすこし後悔するも、それは仕方がない。

やや雨が降り出したということもあり、会場では傘がさせないということなので、念のためにレインコートを用意する。

 

18:10過ぎに再び家を出て会場に。会場に入る前にミキティうちわを買って応援をしようとしたが、すでに完売してしまっていた。

 

生写真、ミニポスターはいまひとつ購買意欲をそそらなかったのでパスし、カメラチェックを受けて会場入りする。

会場にはすでに多くの人が集まっていた。おそらくほとんどの人はこの付近で何時間もの間、時間を潰していたのだろう。

なかには一回目の歌を外で聴きながら応援していた人もいるのかもしれない。

ステージに目をやると、CDジャケットと同じ写真の特大パネルが設置されており、上部には発売記念のなんたらという文字が書かれている。

 

場内は夜のためにだいぶ暗くなりはじめており、コンサート会場のようにサイリウムを持つ熱心なファンもちらほらと見られた。僕を挟んで一つ隣の二人組も熱心なファン。その一人は一回目も参加したらしく、何十個ものミキティ缶バッジを付けたリュックを背負い、両手にはサイリウム。

 

「前回は周りのノリがいまいちだった」「ココの床はコンクリで堅いから、あんまりジャンプできねーなー」などと話している。

開演5分前ぐらいになると、今回の司会であるスタッフの前説が。

今回のイベントの注意事項などを一通り説明される。

そして丁度午後7時。スタッフの呼びかけによって、ミキティが登場する。

 

ミキティはプロモでも着ているピンクレディ風味のキラキラの白いラメ衣装で登場。

会場は一気にヒートアップする。ライトを浴びてキラキラと反射するミキティの衣装。

かわいらしい。今日は一日、雨模様だったということをスタッフに振られると

「そうですね、でも……、やーみーまーしたー!!」と会場に向かってアピール。

 

するとファンも大歓声でこれに応える。たしかに会場に入る前は雨もちらほらと降っていたようだが、イベントが始まるとそれがすっかりと止んで雲も取れ始めていた。

さすがこういうところは強運なんだなーと関心。

もっともあややのイベント時は常にはめちゃめちゃ快晴だったらしいが。

そしてついにミニライブの開始。先ずは2ndシングル「そっと口づけて、ギュッと抱きしめて」、デビューシングル「会えない長い日曜日」を続けて歌う。

会場は総立ち状態で声援を送る。一人はさんでの隣の熱心なファン二人は曲間に「ミキミキミキミキミキミキミキミキティ!!!」と、何回「ミキ」と言えるかを競っているようだった。

彼らの騒ぎっぷりは、もう子供がトランス状態に入っちゃった時とでもいうのだろうか、また、スーパーマリオの無敵の状態とでも言うべきか、それはもうすごい勢い、何でもアリな状態で、警察官が巡回していたら間違いなく事情聴取のレベルだった。

 

ミキティが二曲歌い終わると、再び司会の人が出てきて、今度は新曲の紹介を始める。

「これまでWウインクなど、いろんな振り付けがありましたが、新曲の振り付けのポイントはどこですか?」と聞かれるとミキティは、 「えーとですねえ、ローマンティック♪ 恋の♪ 花咲く♪ 浮かれモード♪ 史上~最大の♪ 恋がは~じま~りそお~♪」 というサビの一通りの振り付けをアカペラで披露。

 

ミキティのアカペラに会場がおおっと盛り上がる。しかしどう考えても一発で覚えられるはずもない長い振り付けを、「みなさんも一緒に覚えてやってください(はあと)!!」といい、「やってみますか?」という呼びかけにファンも盛り上がり、再び会場全体でこのサビの振り付けを練習することに。ミキティ……、もう少し短く、そしてやりやすい振り付けを頼むよ……、と思いながらも会場ではみんながミキティに習い、振り付けを覚える。

 

僕の隣の推定彼女いない歴17年の高校男子はメチャメチャ必死に覚えようとしている。

その姿に好感を覚えた。ただ、僕にはさすがにできなかった。

そして、新曲「ロマンティック浮かれモード」を披露。

隣の高校生はぎこちなく、しかし忠実に浮かれモードのサビの振り付けをミキティと一緒に踊っていて、その隣の熱心なファン二人は相変わらず「ミキミキミキミキミキミキミキミキティ!!!」と叫びまくっている。

 

そんな熱心なファンの勢いに圧倒されながらも、僕も手拍子で僕なりの応援をする。

さすがに一緒に振りはできない、ミキティすまぬ……と思いながら。

 

そして新曲が歌い終わると、ミキティはすこし息を弾ませながら、「今日は短かったですけど、これからもっとたくさんの歌を歌って、みなさんともっともっと長い時間が過ごせるように、いつかはソロコンサートをしたいと思いますので、みなさん応援してください!」と、コメント。

歌い終わりでやや息が上がっていながらのそのコメントにかなりやられた。

あややのソロコンサートには行かなかったけど、ミキティ、あんたのソロコンサート実現の暁には、是非とも応援させに行かせてもらうよ。

 

こうして約15分程のミニライブが終了。ミキティは一度舞台袖に下がり、握手会の準備が始まった。司会のスタッフが握手会に関する注意事項を説明し始める。スタッフの「握手券を用意して待ってください」というアナウンスに一瞬怯む。握手券なんかもらってない。もしやCDの中にもう一枚入っていたのだろうか……、とビビるものの、チケットの半券が握手券ということが判明。

 

記念として持ち帰ろうと思っていただけに、この半券の回収はほんの少しショックだった。 ミキティが再びステージに登場し、握手会に備える。

ミキティは着替えることもなく、先程のキラキラのステージ衣装で登場した。

ミキティの前には長机が設置され、ファンとの間隔を確保する。

そしてミキティの両サイドにはセキュリティのスタッフが付き、目を光らせている。

さらに机との間に人が一人通れる間隔を空け、机の前に三人のスタッフが立つ。

この三人のスタッフも同じセキュリティかと思ったが、後にこの三人が「ベルトコンベアー要因」であることが判明する。

前のブロックから順番に、握手の列ができはじめる。

 

ミキティへのプレゼントは今回は直接渡せず、事前にスタッフに渡すように指示される。

流れを崩さないようにだ。 そしてものすごい勢いの握手会が始まった。

ファンはミキティの前に立ち止まることを許されず、電車の自動改札を通るように握手をしなければならない。

 

先程「ベルトコンベアー要因」と説明した後ろに立っていた三人は、そのファンの流れを止めないように、どんどことミキティの前からファンを掻き出す。

その異常なスピードに会場からは大きなどよめきと、軽い失笑がわき上がる。

とにかく自分が見た中で史上最大の握手会のスピードである。みんなにしたってそうだろう。

 

一人に与えられる時間は一秒にも満たない。 ミキティが握手している間にも司会のスタッフは「どんどん進んでください」「今回は握手会なので、握手以外の行為はしないでください」「決して変な行動はしないでください」と煽る。

 

こうした事務的な握手会で、ファンは不満を漏らすものもいたが、ミキティにしてみれば一人一人にちゃんと両手で握手しているわけだからすごい。

一回目の握手会ですでに約3000人と握手しているわけで、二回目の握手会を併せたら、6000人ものファンと握手をしないといけないわけである。

 

山崎パンの工場のアルバイトにしたら、相当なバイト代をもらっていいはずの効率のよい仕事っぷりだ。 こうして特にトラブルがあるわけでもなく、半分ぐらいのファンとの握手が終わった頃、ついに僕の順番が回ってきた。

 

ミキティとの距離は机を挟んで約6~70センチ。握手をするときに何を言おうかといろいろ考えていたのだが、この短い握手時間と、自分的にもテンパっていたためもあり、ありきたりな「頑張ってください」というコメントしか言えなかった。

 

めまぐるしいスピードでの握手であったが、ちゃんとミキティは目を見て、頭を下げながら、そして両手で「ありがとうございます」といいながら握手をしてくれた。

もちろん僕も両手握手である。ミキティの目はやや疲れており、すこし笑顔が消えていたようだったが、たしかに彼女の手のヌクモリがこちらに伝わってきた。

 

現実の生活で、女の子と手を握って街を歩くことはあっても、お互い向かい合わせで両手握手するという行為は実際の生活でもなかなかない。

そういったプラトニックな行為が新鮮で、なんとも清々しい気持ちになった。

本当に短い一瞬であったが、今でも鮮明に思い出すことができる。

一人で心細い思いで参加したわけだが、一人でも行ってよかったと心の底から感じている。

 

このイベントにすっかりやられてしまった僕は、帰りがけにここでしか買えないというミキティの生写真を購入(後日、ハロプロショップでも同じ二枚の写真が買えることが発覚。プチショックを受ける)し、振込手数料が掛からないからお得だという理由でハロープロジェクトの会員の申し込みをし、帰路に就いた。

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そして次の日、ミキティの興奮冷めやらぬまま、原宿のハロプロショップへと赴いた。

(2002/09/11)

 

【執筆】PLAY